
お話を伺った方
株式会社神鋼環境ソリューション
経営企画部 DX推進室 担当部長 森 章様
ホームページ:https://www.kobelco-eco.co.jp
プラント業界の特性からみた安全書類業務の大きな伸びしろ
Q:プラント工事の観点からみた当時の課題を教えてください。
協力会社さんの編成が複雑で、それゆえ現場担当者の業務負担が膨大になることです。プラント工事の特性として、土木や建築、プラント機器、配管、電気などたくさんの工種がひとつの現場に細かく編成されます。そのため現場担当者は、様々な工種の協力会社さんと作業工程の調整しながらその隙間時間で安全書類業務に取り組むことになります。その結果、どうしても管理やチェックがひっ迫してしまい、時には長時間労働に繋がることがありました。
Q:「工種の複雑性」が大きな特徴なのですね。これにより、安全書類業務にどんな影響が発生していましたか?
施工体制台帳の書式がバラバラで提出されたり、その書式の統一自体にも大きな負担が発生したりしていました。それにより「不備確認の煩雑さ」と「書類管理のセキュリティ」の2点が課題として挙げられます。
「書類不備の煩雑さ」については、法令遵守の観点から細かい箇所まで不備を確認する必要があり、現場担当者の負担になっていました。例えば一人親方さんや建設業許可を持っていない協力会社さんの場合、発注金額や特別労災を含めた保険関係の確認も必要です。書類に記載されているのは会社名だけですから、一人親方さんかどうか、その場合は必要な保険に入っているのかどうかなどの確認に時間を取られていました。
「書類管理のセキュリティ」では、個人情報の取り扱いに課題がありました。安全書類には数百名規模の個人情報が含まれており、各現場で鍵付きの箱に入れる決まりがありましたが、紙媒体でそのまま残しておくこと自体に抵抗感があり、それも解決したいと考えていました。
Q:上記の課題に加えて、建設DXという観点からGreenfile.workを導入した理由を教えてください。
工期が3〜4年ほどの長期案件がある特性から、設計の手戻りや施工の手戻りを改善することによって、余計な費用を発生させないことが重要だと考えています。安全書類業務は、一見すると小さな負担に見えますが、それが3〜4年間続くと大きな負荷へと積み上がり、自社利益にも影響します。特に現場の負担になっていた安全書類業務は大きく効率化できる業務と判断し、現場主導でGreenfile.workを採用しました。
※経営企画部 DX推進室 担当部長 森 章様
書類業務を建設室で実施する体制に変更
Q:現場の業務負担削減のための体制とはどういったものですか?
これまで現場担当者が受け持っていた安全書類業務を、完全に本社の建設室で受け取る体制に変更しました。これにより、現場担当者の負担となっていた安全書類管理を社内で一元管理することに成功しました。
建設室で専任2名、責任者1名の3名体制を取っています。専任の2名は業務支援スタッフと本社の若手担当者で、業務支援スタッフがメインで書類を確認します。この体制を運用する際、本来であれば、業務支援スタッフにも建設業法や施工体制台帳の取り扱いに関する研修が必要です。一方、Greenfile.workなら不足している書類もサービス上で把握できますし、不備のある箇所やその内容もアラートで表示されるため、専門知識が無くてもある程度の不備チェックや是正指示が可能となります。基本的なチェックはGreenfile.workと業務支援スタッフで完結するため、現場スタッフの不備確認業務の負担が削減されています。
Q:導入から定着まではどのような取り組みをされましたか?
業務支援スタッフの初期教育と、協力会社さんへの説明会を実施しました。また、この取り組みにオンラインツールを活用したことで、スムーズな導入と協力会社さんへの迅速な浸透が実現できたと感じています。導入初期段階では建設室の3人で実際に同じ画面を見ながら不備内容の指導や不明点の確認を実施し、業務支援スタッフが迅速に独り立ちできるようにしました。
また、協力会社さんへの浸透に向け、社内・現場・社外への操作方法の手順書を作成し、さらに操作説明会をリモートで実施することで、サービスへの理解を深めてもらえるよう尽力しました。
※Greenfile.workで安全書類の提出状況を確認する森様
業務の効率化が評価され社内の業務効率化表彰を受賞
Q:具体的に現場の負担はどれほど削減されましたか?
実はGreenfile.work導入によって生まれた成果が、業務改善の観点で評価され、社内表彰されました。その際に社内共有したリサーチによれば、例えば最も深刻な課題だった書類の不備確認は、900分から180分に短縮されました。書類管理のセキュリティについても、クラウド上でデータの保管ができるため、強固な管理体制を構築できたと感じています。
建設DXとは、官民一体となり連携すること
Q:今後の建設業界への課題と、これからのGreenfile.workに期待することを教えてください
建設DXの実現には、官民の連携が不可欠だと考えています。建設キャリアアップシステムへの事業者登録や入退場管理の情報は、今後の建設業界にとって社会インフラ的な位置づけになっていくと思います。そのインフラ基盤を活用して、あらゆる業務フェーズを効率化したり、民間ツールと連携したりすることによって、建設業界のDX化はより推進していけますし、例えば発注者へ提出する書類の電子化も期待できます。直近は、民間ツールと建設キャリアアップシステムの連携も重要になってくるため、Greenfile.workには連携の利便性をさらに上げていくことと、業界への影響力を広げてくれることを期待しています。
本日はありがとうございました!