安全管理の基本方針|建設現場での14の指針と教育方法

現場の安全管理

更新日:2019年8月14日

工事を見守る監督

建設現場では重大な事故が発生しうるため、労働災害を未然に防ぐために元方事業者(元請け)は安全管理をしていくことが求められます。平成7年に労働省(※現厚生労働省)の局長から業界団体向けに通達された「元方事業者による建設現場安全管理指針について」より、元方事業者に対して求められる安全管理についての指針を紹介します。

目次

建設現場安全管理14の指針

建設現場での安全管理は大きく14の指針にまとめられています。それぞれ確認していきましょう。

  1. 安全衛生管理計画の作成
  2. 過度の重層請負の改善
  3. 請負契約における労働災害防止対策の実施者及びその経費の負担者の明確化等
  4. 元方事業者による関係請負人及びその労働者の把握等
  5. 作業手順書の作成
  6. 協議組織の設置・運営
  7. 作業間の連絡及び調整
  8. 作業場所の巡視
  9. 新規入場者教育
  10. 新たに作業を行う関係請負人に対する措置
  11. 作業開始前の安全衛生打合せ
  12. 安全施工サイクル活動の実施
  13. 職長会(リーダー会)の設置
  14. 関係請負人が実施する事項

安全衛生管理計画の作成

元方事業者は、建設現場における安全衛生管理の基本方針、安全衛生の目標、労働災害防止対策の重点事項等を内容とする安全衛生管理計画を作成すること。

 

元方事業者は、建設現場における安全衛生管理の基本方針、安全衛生の目標、労働災害防止対策の重点事項等を内容とする安全衛生管理計画を作成すること。

なお、この場合において、元方事業者が共同企業体である場合には、共同企業体のすべての構成事業者からなる委員会等で審査する等により連携して、これを作成すること。

過度の重層請負の改善

元方事業者は、作業間の連絡調整が適切に行われにくいこと、元方事業者による関係請負人の安全衛生指導が適切に行われにくいこと、後次の関係請負人において労働災害を防止するための経費が確保されにくくなること等の、労働災害防止上問題を生じやすい過度の重層請負の改善を図るため、次の事項を遵守するとともに、関係請負人に対しても当該事項の遵守について指導すること。

① 労働災害を防止するための事業者責任を遂行することのできない単純労働の労務提供のみを行う事業者等にその仕事の一部を請け負わせないこと。

② 仕事の全部を一括して請け負わせないこと。

請負契約における労働災害防止対策の実施者及びその経費の負担者の明確化等

元方事業者は、請負人に示す見積条件に労働災害防止に関する事項を明示する等により、労働災害の防止に係る措置の範囲を明確にするとともに、請負契約において労働災害防止対策の実施者及びそれに要する経費の負担者を明確にすること。

また、元方事業者は、労働災害の防止に要する経費のうち請負人が負担する経費(施工上必要な経費と切り離し難いものを除き、労働災害防止対策を講ずるためのみに要する経費)については、請負契約書に添付する請負代金内訳書等に当該経費を明示すること。

さらに、元方事業者は、関係請負人に対しても、これについて指導すること。

なお、請負契約書、請負代金内訳書等において実施者、経費の負担者等を明示する労働災害防止対策の例には、次のようなものがある。

(1) 請負契約において実施者及び経費の負担者を明示する労働災害防止対策

① 労働者の墜落防止のための防網の設置

② 物体の飛来・落下による災害を防止するための防網の設置

③ 安全帯の取付け設備の設置

④ 車両系建設機械を用いて作業を行う場合の接触防止のための誘導員の配置

⑤ 関係請負人の店社に配置された安全衛生推進者等が実施する作業場所の巡視等

⑥ 元方事業者が主催する安全大会等への参加

⑦ 安全のための講習会等への参加

(2) 請負代金内訳書に明示する経費

① 関係請負人に、上記④の誘導員を配置させる場合の費用

② 関係請負人の店社に配置された安全衛生推進者等が作業場所の巡視等の現場管理を実

施するための費用

③ 元方事業者が主催する安全大会等に関係請負人が労働者を参加させるための費用

④ 元方事業者が開催する関係請負人の労働者等の安全のための講習会等に関係請負人が

労働者を参加させる場合の講習会参加費等の費用

元方事業者による関係請負人及びその労働者の把握等

(1) 関係請負人の把握

元方事業者は、関係請負人に対する安全衛生指導を適切に行うため、関係請負人に対し、

請負契約の成立後速やかにその名称、請負内容、安全衛生責任者の氏名、安全衛生推進者の選任の有無及びその氏名を通知させ、これを把握しておくこと。

(2) 関係請負人の労働者の把握

元方事業者は、関係請負人に対し、毎作業日の作業を開始する前までに仕事に従事する労

働者の数を通知させ、これを把握しておくこと。

また、元方事業者は、関係請負人に対し、その雇用する労働者の安全衛生に係る免許・資

格の取得及び特別教育、職長教育の受講の有無等を把握するように指導するとともに、新たに作業に従事することとなった関係請負人の労働者について、その者が当該建設現場で作業に従事する前までにこれらの事項を通知させ、これを把握しておくこと。

(3) 安全衛生責任者等の駐在状況の把握

元方事業者は、関係請負人が仕事を行う日の当該関係請負人の安全衛生責任者又はこれに

準ずる者の駐在状況を朝礼時、作業間の連絡及び調整時等の機会に把握しておくこと。

(4) 持込機械設備の把握

元方事業者は、関係請負人に対し、関係請負人が建設現場に持ち込む建設機械等の機械設

備について事前に通知させ、これを把握しておくとともに、定期自主検査、作業開始前点検等を徹底させること。

作業手順書の作成

元方事業者は、関係請負人に対し、労働災害防止に配慮した作業手順書を作成するよう指導すること。

協議組織の設置・運営

元方事業者が設置・運営する労働災害防止協議会等の協議組織については、次によりその活性化を図ること。

(1) 会議の開催頻度

元方事業者は、協議組織の会議を毎月1回以上開催すること。

(2) 協議組織の構成

元方事業者は、協議組織の構成員に、統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者又はこれ

らに準ずる者、元方事業者の現場職員、元方事業者の店社(共同企業体にあっては、これを構成するすべての事業者の店社)の店社安全衛生管理者又は工事施工・安全管理の責任者、安全衛生責任者又はこれに準ずる者、関係請負人の店社の工事施工・安全管理の責任者、経営幹部、安全衛生推進者等を入れること。

なお、元方事業者は、構成員のうちの店社の職員については、混在作業に伴う労働災害の

防止上重要な工程に着手する時期、その他労働災害を防止する上で必要な時期に開催される協議組織の会議に参加させること。

(3) 協議事項

協議事項の会議において取り上げる課題については、次のようなものがあること。

① 建設現場の安全衛生管理の基本方針、目標、その他基本的な労働災害防止対策を定めた計画

② 月間又は週間の工程計画

③ 機械設備等の配置計画

④ 車両系建設機械を用いて作業を行う場合の作業方法

⑤ 移動式クレーンを用いて作業を行う場合の作業方法

⑥ 労働者の危険及び健康障害を防止するための基本対策

⑦ 安全衛生に関する規程

⑧ 安全衛生教育の実施計画

⑨ クレーン等の運転についての合図の統一等

⑩ 事故現場等の標識の統一等

⑪ 有機溶剤等の容器の集積箇所の統一等

⑫ 警報の統一等

⑬ 避難等の訓練の実施方法等の統一等

⑭ 労働災害の原因及び再発防止対策

⑮ 労働基準監督官等からの指導に基づく労働者の危険の防止又は健康障害の防止に関す

る事項

⑯ 元方事業者の巡視結果に基づく労働者の危険の防止又は健康障害の防止に関する事項

⑰ その他労働者の危険又は健康障害の防止に関する事項

(4) 協議組織の規約

元方事業者は、協議組織の構成員、協議事項、協議組織の会議の開催頻度等を定めた協議

組織の規約を作成すること。

(5) 協議組織の会議の議事の記録

元方事業者は、協議組織の会議の議事で重要なものに係る記録を作成するとともに、これ

を関係請負人に配布すること。

(6) 協議結果の周知

元方事業者は、協議組織の会議の結果で重要なものについては、朝礼等を通じてすべての

現場労働者に周知すること。

作業間の連絡及び調整

元方事業者は、混在作業による労働災害を防止するため、混在作業を開始する前及び日々の安全施工サイクル活動時に次の事項について、混在作業に関連するすべての関係請負人の安全衛生責任者又はこれに準ずる者と十分連絡及び調整を実施すること。

① 車両系建設機械を用いて作業を行う場合の作業計画

② 移動式クレーンを用いて作業を行う場合の作業計画

③ 機械設備等の配置計画

④ 作業場所の巡視の結果

⑤ 作業の方法と具体的な労働災害防止対策

作業場所の巡視

元方事業者は、統括安全衛生責任者及び元方安全衛生管理者又はこれらに準ずる者に、毎作業日に1回以上作業場所の巡視を実施させること。

新規入場者教育

元方事業者は、関係請負人に対し、その労働者のうち、新たに作業を行うこととなった者に対する新規入場者教育の適切な実施に必要な場所、資料の提供等の援助を行うとともに、当該教育の実施状況について報告され、これを把握しておくこと。

新たに作業を行う関係請負人に対する措置

元方事業者は、新たに作業を行うこととなった関係請負人に対し、当該作業開始前に当該関係請負人が作業を開始することとなった日以前の協議組織の会議内容及び作業間の連絡調整の結果のうち当該関係請負人に係る事項を周知すること。

作業開始前の安全衛生打合せ

元方事業者は、関係請負人に対し、毎日、その労働者を集め、作業開始前の安全衛生打合せを実施するよう指導すること。

安全施工サイクル活動の実施

元方事業者は、施工と安全管理が一体となった安全施工サイクル活動を展開すること。

職長会(リーダー会)の設置

元方事業者は、関係請負人に対し、職長及び労働者の安全衛生意識の高揚、職長間の連絡の緊密化、労働者からの安全衛生情報の掌握等を図るため、職長会(リーダー会)を設置するよう指導すること。

関係請負人が実施する事項

(1) 過度の重層請負の改善

関係請負人は、労働災害を防止するための事業者責任を遂行することのできない単純労働

の労務提供のみを行う事業者等にその仕事の一部を請け負わせないこと。また、仕事の全部を一括して請け負わせないこと。

(2) 請負契約における労働災害防止対策の実施者及びその経費の負担者の明確化

関係請負人は、その仕事の一部を別の請負人に請け負わせる場合には、請負契約において

労働災害防止対策の実施者及びその経費の負担者を明確にすること。

(3) 関係請負人及びその労働者に係る事項等の通知

a 名称等の通知

関係請負人は、元方事業者に対し、請負契約の成立後速やかにその名称、請負内容、安

全衛生責任者の氏名、安全衛生推進者の選任の有無及びその氏名を通知すること。

b 労働者数等の通知

関係請負人は、元方事業者に対し、毎作業日の作業を開始する前までに仕事に従事する

労働者の数を通知すること。

また、関係請負人は、その雇用する労働者の安全衛生に係る免許・資格の取得及び特別

教育、職長教育の受講の有無等を把握するとともに、元方事業者に対し、新たに作業に従

事することとなった労働者について、これらの事項をその者が当該建設現場で作業に従事

する前までに通知すること。

c 持込機械設備の通知

関係請負人は、元方事業者に対し、建設現場に持ち込む建設機械等の機械設備について

事前に通知すること。

(4) 作業手順書の作成

関係請負人は、労働災害防止に配慮した作業手順書を作成すること。

(5) 協議組織への参加

関係請負人は、安全衛生責任者又はこれに準ずる者を協議組織の会議に毎回参加させるこ

と。

また、関係請負人は、混在作業に伴う労働災害防止上重要な工程に着手する時期、その他

労働災害を防止する上で必要な時期に開催される協議組織の会議に店社の職員を参加させ

ること。

(6) 協議結果の周知

関係請負人は、協議組織の会議の結果で重要な事項をその労働者に周知すること。

(7) 作業間の連絡及び調整事項の実施の管理

関係請負人は、安全衛生責任者又はこれに準ずる者に、統括安全衛生責任者又はこれに準

ずる者等から連絡を受けた事項の関係者への連絡、及び連絡を受けた事項のうち自らに関係するものの実施についての管理を確実に行わせること。

(8) 新規入場者教育の実施

関係請負人は、その雇用する労働者が建設現場で新たに作業に従事することとなった場合

には、当該作業従事前に当該建設現場の特性を踏まえて、次の事項を職長等から周知するとともに、元方事業者にその結果を報告すること。

① 元方事業者及び関係請負人の労働者が混在して作業を行う場所の状況

② 労働者に危険を生ずる箇所の状況(危険有害箇所と立入禁止区域)

③ 混在作業場所において行われる作業相互の関係

④ 避難の方法

⑤ 指揮命令系統

⑥ 担当する作業内容と労働災害防止対策

⑦ 安全衛生に関する規程

⑧ 建設現場の安全衛生管理の基本方針、目標、その他基本的な労働災害防止対策を定めた計画

(9) 作業開始前の安全衛生打合せの実施

関係請負人は、毎日、作業開始前にその雇用する労働者を集め、次の事項について安全衛

生打合せを実施すること。

① 当日の作業内容、作業手順、労働災害防止上の留意事項等についての関係労働者への指示

② 作業間の連絡調整の結果の周知

③ 関係労働者の労働災害の防止に対する意見等の把握

④ 危険予知活動等の安全活動

(10) 職長会(リーダー会)の設置

関係請負人は、職長及び労働者の安全衛生意識の高揚、職長間の連絡の緊密化、労働者か

らの安全衛生情報の掌握等を図るため、職長会(リーダー会)を設置すること。

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